中学受験の合否を左右する「図形・速さ・文章題」を攻略する勉強法

州崎真弘

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中学受験の合否の別れ道は、「算数の成績」で決まります。中でも入試に頻出の「図形・速さ・文章題」を攻略することは非常に重要です。苦手とする受験生も多い単元ですが、勉強法を理解し、焦らずに取り組むことが大事です。難関中学受験の志望者を長年指導してきた経験を持つ、州崎真弘さんが解説します。

※本稿は、州崎真弘著『中学受験は算数で受かる』(すばる舎)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

州崎真弘(中学受験算数講師/数学講師/受験Lab代表)
元「浜学園」算数講師。灘中合格者数連続日本一の実績を誇る「浜学園」では、史上最速の1週間で講師に昇格。開成中、灘中をはじめとする難関中学志望者を中心に、キャリアアップを目指す社会人や大学生まで、28年以上で指導した受験生は4800 名を超える。現在は受験Lab代表として、中学受験算数のオンライン授業・Web 講座・リモート個別指導・添削指導の他、保護者向け受験コンサルティングなど、トータルな受験指導者として活動。

算数の生命線を攻略する

『計算』と『比』は基礎であり、算数の基本です。なるべく早く使いこなせるようになっておきましょう。

次に攻略すべきなのは範囲が広く、難易度の幅も大きい『図形』です。入試に『図形』が出題されない学校はまずありません。学校によっては出題数が5割を超えるところもあり、『図形』は算数の生命線といえます。

そして、その図形やグラフを絡めて、いくらでも問題のパターンを増やすことのできる『速さ』の問題。こちらも難解なものが多く、ほとんどの学校で出題されます。

最後に『文章題』です。『文章題』はテーマが多いので、優先順位をつけてやってほしいところではありますが、『割合と比』の知識があれば、少ない条件整理と計算でできるものもあるので、焦らず取り組みましょう。ではそれぞれの攻略方法について説明していきます。

『図形』の攻略法

『図形』は、学年によって学習方法が異なります。基本的には4年生までは平面図形を中心に習い、5年生で平面図形・立体図形の全て、つまり受験に必要な基本を習います。そして、6年生になると5年生までに習った基本を応用させる演習に入ります。

4年生では飛び級で学習しない限り、平面図形の特に、角度、面積が中心です。中には、基本的な立体の体積や図形の移動を習いますが、4年生の間は、円なども含めた複合的な面積が求められるようにしておくと5年生で楽になります。

重要なのは、必ず自分で図を描いて解くこと! これにより、図形的なセンスを養われるからです。解くだけなら問題に載っている図に書き込んでも解けますが、先を見据えた学習とは言えません。

5年生になると、平面図形(角度、面積、相似、図形の移動など)と立体図形(体積、容積、水量とグラフ、立体の切断、展開図など)、受験に必要な図形の知識がほぼ全て登場してきます。

ここに挙げきれないほど多岐に渡ります。テーマもかなり多いので、6年生に備えて応用より基本の学習を最優先にしてください。

勉強するときは、自分の手で作図は必須です。その際は、3色以上のペンは用意しておくこと。図にカラーを使うことで欲しい図を浮かび上がらせる練習に役立ちます。

6年生では、5年生までに習った全範囲のレベルアップです。広範囲ですが、5年生までの基本ができていれば、実践演習に時間を注げます。5年生で手を抜いていた子は、ここで基本から立て直す時間が取られるので一気に差をつけられます。

そのためにも、5年生でやれることはやっておきましょう。また、平面と立体を同時並行で学習します。

どれも大事ですが、平面では相似形は最重要、立体では切断や投影図が比較的、受験生の苦手としているところです。

入試問題の図形では、単発で設問が存在していることは少なく、いくつかの小問を順に求める「誘導型の問題」が圧倒的です。例えば、角度を聞いた次に、長さを求めさせて、最後に、といった感じです。

したがって、テーマごとではなく、複合的な問題(大問)の練習をするようにしてください。